(68) 心にも あらでうき世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな (三条院)
恋しかるべき 夜半の月かな (三条院)
(歌意)不本意にも、つらいこの世に生きながらえていたなら、
きっと恋しく思うに違いない。
この美しい夜更けの月を。
If in this troubled world of ours
I still must linger on,
My only friend shall be the moon,
Which on my sadness shone,
When other friends were gone.
THE RETIRED EMPEROR SANJYO
三条天皇は、目の病気を理由に藤原道長から退位を迫られ、在位わずか五年で道長の孫の後一条天皇に位を譲り三条院となった。この歌は退位を決意したときに詠んだ歌だそうです。
その後、一年ほどで死去したので、このときに観た月が最後の月だったかもしれない。