(76) わたの原 こぎ出でて見れば ひさかたの
雲居にまがふ 沖つ白波 (法性寺入道前関白太政大臣)
雲居にまがふ 沖つ白波 (法性寺入道前関白太政大臣)
(歌意)大海原に漕ぎ出して見渡すと、大空の雲と見間違えてしまうように
沖の白波が立っているなあ。
When rowing on the open sea,
The waves, all capped with white,
Roll onward,like the fleecy clouds
With their resistless might;
Truly a wondrous sight!
THE LATE REGENT AND PRIME MINISTER,
THE LAY PRIEST OF THE HOSHO TEMPLE
平城京跡の遣唐使船
七十五番の歌の藤原基俊との約束を反故にした藤原忠通が詠んだ歌です。後白河天皇とその兄、崇徳院とが衝突した「保元の乱」では、忠通は後白河天皇側で戦い、六十五歳で出家し法性寺の側に別荘を持ち、法性寺入道と呼ばれたそうです。 写真では、青い空と海との一体感を表現しました。