(92) わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の
人こそ知らね かわく間もなし(二条院讃岐)
人こそ知らね かわく間もなし(二条院讃岐)
(歌意)私の着物の袖は、
引き潮の時にも見えない沖の石のように、
あの人は気づかないけれど、
涙に濡れて、乾く間もないのです。
My sleeve is wet with floods of tears
As here I sit and cry;
‘Tis wetter than a low-tide rock,−
No one, howe’er he try,
Can find a spot that’s dry!
SANUKI, IN ATTENDANCE
ON THE RETIRED EMPEROR NIJYO
「石に寄せる恋」というお題で詠んだ歌で、潮が引いても姿を現さない石があり、その岩のように私の袖も、あなたを想う涙で濡れたまま乾くことがない。あなたは、そのことに気づいていますか。と歌っています。この歌は当時大変な人気になり、二条院讃岐は「沖の石の讃岐」と呼ばれたそうです。 写真は、雨晴海岸(富山県)の朝日を撮ったものですが、大変人気のある撮影スポットで、夜中から日の出待ちのカメラマンでいっぱいでした。