小倉百人一首第十七番歌・在原業平朝臣が詠んだ歌の「竜田川」と、第六十九番歌・能因法師の「三室山」を訪ねました。
この二つの歌枕は同じ所に位置し、三室山のふもとを流れる竜田川は、古くから紅葉の名所として多くの和歌に登場します。また、三室山は桜の名所としても知られ、特に満開の桜に覆われた姿は見事のようです。
ただ、三室山の落ち葉が竜田川の川面を、帯のように覆い尽くすことはないようです。在原業平朝臣は、屏風絵に描かれた紅葉の流れる竜田川を想像して詠んだのと同じように、能因法師もイメージを膨らまして詠んだと思われます。