(63)  今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを
   
人づてならで いふよしもがな (左京大夫道雅)     s

         (歌意)今はただ、あなたへの思いを
             諦めてしまおうということだけを
             人づてではなく、直接にお伝えすることが
             できる方法があれば良いのになあ。 

                  If we could meet in privacy,
                  Where no one else could see,
                  Softly I’d whisper in thy ear
                 This little word from me—
                 ‘I’m dying, Love,for thee.’
                         THE SHINTO OFFICIAL MICHIMASA.
                            OF THE LEFT SIDE OF THE CAPITAL

左京大夫道雅(藤原道雅)は、藤原道隆と第54首の儀同三司母との子です。道雅は伊勢斎宮の役目を終えて京に戻っていた三条院の皇女、当子内親王と恋仲になり密通していた。その噂を聞いた三条院は激怒し、二人の仲は引き裂かれ、当子内親王は出家した。そのような時にこの歌は詠まれたのです。遠く離れた人を想う気持ちを雲海の風景で表現しました。